5月は毎週のようにスゴイ試合が組まれているボクシング界。先週末は現在の最強ボクサーが決まる世界ヘビー級4団体統一戦が開催された。
ボクシングにおいて最も強い選手がいるのはもちろん最重量級であるヘビー級。そのヘビー級の4本全てのベルトが初めて統一される実現不可能とも言われていた試合がまたもやサウジアラビアのオイルマネーによって実現した。両者合わせてのファイトマネーは240億円にも上ると言われている。
史上最強とも言われるヘビー級ボクサー、タイソン・フューリー選手は身長206cm、体重120キロの最大級の選手。対するウクライナのウシク選手は191cm、101キロで元々は1つ下の階級クルーザー級の4団体統一王者だった。
身長差、体重差を考えても普通はフューリー選手が勝つと考えるのが妥当だと思うけれど、まさかの結果が待っていた。なんとウシク選手の方が9ラウンドのダウンを奪っての判定勝利をモノにした。
展開としては前に出るのは小さいウシク選手で手数も多かった。序盤はウシク選手。中盤からフューリー選手のアッパー、ボディーで効果的に圧力を強めてペースを奪った。このまま進むかと思われた第9ラウンドにウシク選手の左フックからの連打でスタンディングダウンを奪われまた流れが変わる。最後は接戦のまま試合終了のゴング。
結果は2-1の際どい判定でウシク選手が史上初めてのヘビー級4団体統一王者に輝いた。
1週間前に同じウクライナのロマチェンコ選手がチャンピオンに返り咲いて、今回はウシク選手が快挙を成し遂げた。二人とも志願兵としてロシアとの戦争にも参加した選手だ。そして二人とも本来の体格以上の階級で厳しい戦いに身を置いている。
有名なコサック部隊というのはソ連の兵隊というイメージがあるけれど、地域としてはウクライナの辺りから出ているらしい。超精密に戦える遺伝子みたいなものがあるのかもしれない。
5月のあたまの井上選手がPFPランキングの1位に返り咲いたばかりだけれど、今回の試合を受けてウシク選手が1位にランクされた。
アマチュア時代に世界選手権優勝、ロンドンオリンピック金メダル、プロになってクルーザー級4団体統一、WBSS優勝、そして今回のヘビー級での4団体統一と取りうる限りの全ての権威あるタイトルを取ってしまったウシク選手。もうこの先何か成しうるものがない高みまで登ってしまったので、さすがにPFP1位も当然のことだと思う。
巨人フューリーに臆することなく立ち向かうウシク選手は格好良かった。
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