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江戸1

今では東京は世界的な大都市で日本の首都でもある。

しかし、徳川家康が豊臣秀吉によって不毛の土地だった江戸に追いやられなければ今の東京はあり得なかった。

そんな家康がいかにして広大な湿地帯を日本の中心にまで発展させたのかを書いた小説「家康、江戸を建てる」を読んでみる。

まず第一章が「流れを変える」だ。江戸城のすぐ東に利根川の広大な河口があった為、畑を作っても家を建てても大水があれば流されて江戸は発展できなかった。そこで家康が伊奈忠次という人物にこの問題解決を託す。堤防を作っても堤防ごと流されることが分かっているので、忠次は利根川自体を曲げるという提案をする。かくして行田の川、渡良瀬川、赤堀川、常陸川を利根川に合流させながら利根川東遷を成すのに伊奈家三代の年月をかける。利根川の名残を残す一筋の川が現在の隅田川らしい。
またこれだけの大事業を成した伊奈家は歴史上そんなに有名ではないけれど、埼玉県の土地の伊奈という地名にその名残を残している。伊奈という地名は千葉にもあるらしい。

この治水によって農耕地の拡大と川による物流で江戸は大いに栄えることになった。

今の時代でもなかなかやらないような大事業をあの時代にやってのけたのはスゴイ。
それによって地形も天下の主導権まで変わってしまった。

これが第1章だけど、第5章までこのレベルの話が続くとなると家康がやったことの計り知れなさが窺える。そして、第2章は小判の話。