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沖縄拳法空手の山城先生が拳を握ることの説明をしておられたのが面白かった。

動物が攻撃する場合は普通頭から突進するとか爪で引っ搔いてくるとか噛むとかしてくる。ゴリラ以外で

拳で攻撃してくるのはないだろう。ゴリラの場合はナックルウォークという拳を地面につけて歩く歩き方なのでこれはちょっと特殊だ。

人間も動物と考えるなら拳で攻撃する空手とかボクシングとかというのは、ちょっと変わっている。人間は道具を使うことで進化してきたので手で物を握ることが出来る。なので手は「何か」を握るのに適した設計になっている。拳を何も手の内にないのに握っているので本来は機能的な武器にならないはずだった。

そんなわけで古い武術ほど武器術と体術がセットになっていて、武器を使うことで握って戦うことを覚えていく。武器を使い慣れることで手の内に分厚さが出たり筋肉が発達したりして何も持たずに握っても、握るものが出来てくる。こうなるとこの握っているものを使った重さやそれに伴う慣性、遠心力を活かして強烈な突きが打てるようになる。やはり空手がカラのテで戦うと書いていてもベースは武器術なんだとわかる。

武器の体裁きがまず出来て、そのあと武器が取り上げられた時を想定すると武器の体裁きを応用して組み技が発展すると柔術的なものになっていくし、武器の打撃、斬撃を応用すると空手やカンフー的なものになっていく。

手は「何か」を握るのに都合よく出来ている。
そこを乗り越えていくところに拳があるので、ただ握った拳は大した武器にはなっていないのだろう。