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ロマ

ボクシングの最高傑作と言われるロマチェンコ選手。

ウクライナに志願兵として戻り、トレーニング出来ない日々と消費したボクサーとしての残り時間。

昨日ライト級の全ての世界タイトルとかけて王者ヘイニ―選手に挑んだ。身体の大きさが大きく違うのに加えて両者の年齢差を11歳もある。

戦地からの帰還後の衰えから試合前の予想もヘイニ―選手が有利だった。

結果としては3-0の判定負けだったけれど、内容はロマチェンコ選手が勝っていてもおかしくないものだった。変幻自在のステップで世界最高峰のジャブの名手ヘイニ―選手のジャブは機能しなかった。意外な事に接近戦の時間が多い試合になる。パンチを当てるのが極めて難しいヘイニ―選手の顔面がキレイに跳ね上がる。
観ていてどうしてあんなにキレイに当てられるのか、と驚かされる。

11歳年上のロマチェンコ選手がガス欠を起こすことなくよく動いた。
判定までいってロマチェンコ選手の勝ちだろうと思っていたら名前を呼ばれたのはヘイニ―選手だった。
こうしてロマチェンコ選手の悲願は叶うことがなかった。

35歳で体格的に不利になるライト級で4団体統一王者に対して引けを取らなかったのはさすがで、他のボクサーがマネできないとんでもない技術は健在だった。

年齢的にもう王座統一のチャンスはないだろうけれど、彼の偉大さは観衆の網膜にしっかり刻まれたはずだ。