ソロモンの偽証2

ソロモンの偽証の2巻。正式には第一部事件編下巻。

1巻で同級生が転落死し、自殺として収まりつつある中で、転落は不良グループが突き落としたことで起きた殺人事件だという告発文が出てきて不穏な空気が立ち込め始めていた。

2巻ではそれが校外の人物の悪意によってマスコミに取り上げられてしまう。学校が再びメディアに晒される中でもう一人の同級生が車にはねられて亡くなってしまう。この事件も自殺の可能性が色濃いが。
そして、不良グループの少年が仲間との喧嘩で学校の窓から落下し重症。その後、不良グループのリーダー格の家では火事が起こり祖母が焼死する。

はじめの転落死から誘爆を起こすように次々と人が亡くなっていく。

学校や警察を信じられなくなった主人公は自分たちで一連の事件の真相を突き止めようと決意する。


基本的に学校が舞台の話なので、とにかく登場人物が多い。同級生とその家族、先生、部活、警察、テレビ局と多様でしかも丁寧に各人物の視点から物語を展開していく。また、ある人物の視点では立派な校長先生が、メディアからの観られ方だと小人物に思われるというような人物像というのも全然一定に描かれない。

そして、中学生という子供でも大人でもない時代に出来そうで出来ない心の内にあるものが同級生の死をきっかけにあらゆるところで暴発する不安定さ。案外中学というのは絶妙なバランスで普通に見える世界を保っているのかもしれない。

どの事件もリアルタイムな現場はまだ描かれていないのでどれも事故、自殺、他殺が確定しているものはない。これから主人公たち中学生で真相に辿り着くことが出来るのか。気になって仕方がない。