ソロモンの偽証6

ソロモンの偽証。ようやく完結の第6巻。

裁判の後半戦。これまで弁護側、検事側ともに柏木卓也の転落死の関しての多くの証人を召喚してきたが、最後の証人としてなんと弁護人の神原和彦が呼び出され事件の真相が語られる。

この長い物語の冒頭場面で出てきた電話ボックスの少年がやはりこの神原和彦だった。なので主役級の活躍をしながらも決して彼の目線では物語は進まなかったわけだ。

全ての真相が明らかになったあとで最後の評決をどう出すかでまたドラマがあり、救いのある形で裁判は終わる。何とも後味の良い爽やかな終わり方になった。

本編の最後で途中から本作の主役に昇格した野田君が将来どうなったのかが分かる場面がある。

そのあと書き下ろしの「負の方程式」では、本編の主人公だった藤野涼子の20年後の活躍が描かれ、登場はしないものの神原和彦の消息も判明する。ここでも藤野涼子目線では物語は描かないという進め方をしている。

長い物語だったけれど、各章で巧みに展開が変わってずっと面白かった。人物描写、心理描写、謎解きとどれも素晴らしい良作。