視野

字を書く時、あるいは果物の皮を包丁で剥く時にその対象に狭く集中していないだろうか。
果物だったらそれを顔の近くに持って来て肩を怒らせて首に力を入れて向いていないか?
字だったら今書いている字にだけ焦点が合っていないか?


対象に対して狭く集中すると身体は自然と緊張する。すると集中するほどにぎこちない動きになり、しかも疲れやすい。

昔の侍は「遠山の目付」といって敵と真剣を手に対峙している時ですら、敵の背後にある山も見えている状態を保つ。相手にだけ集中するとそれだけカタくなり反応が遅れることを知っていたのだろう。

なので果物の皮を剥くなら肩を落として果物全体が見えるくらいの視野を確保して剥く。肩は楽で包丁もコントロールしやすいはずだ。
字を書く時も書いている字の少し上の字も視野に入っていると字が段々曲がっていくようなことも少なくなる。

集中することはいい事だと教わってきた我々からすると当たり前のようにしていることだけど、こういう取り組み方が肩こり、首こりを生んでいるとも言える。
欧米には肩こりという概念がないというけれど、真面目な日本人特有の癖なのかもしれない。